2ヶ月に1度くらいを目安に国内をぷらっと1人旅しているという、旅番組みたいな奴だ。
彼は「お金がない旅だから、貧乏旅行だけど楽しいよ。
国内ってことで英語とかいらないしな」と笑っている。
実は彼、今から2年ほど前に大失恋を味わった。
結婚しようと考えていた彼女に振られ、
このままでは自分がダメになると悟ったらしく、
1人旅にはまったらしい。
「でもさ、なんで国内なの?
ほら、1人旅なら海外にって人のほうが多いでしょ」と私。
「俺はパスポートなんて持っていないんだよ。
それに日本国内にだって行ったことがない場所はない?
まずは手軽に行けるところから行かなくちゃ。
みんな海外海外っておかしいだろう。
日本にだって素晴らしい場所はたくさんあるし」
彼の話を聞いていて、なんだかもっともな意見だなと思ってしまった。
国内だろうと国外だろうと、自分が気に入ったところを選べばいいわけだ。
「男の1人旅は危ない目にも女性ほど遭遇しないだろうし、
パンツとシャツくらいですむから楽だ」という。
確かに私が以前1人旅をしたときは化粧品だ、洋服だと
大荷物だったし、へんなキャッチセールスにあったりした。
普段はあまり感じないことだけれど、
女でいることが面倒だと思ったのは
1人旅をしてからかもしれない。
「そうそう、あなたの1人旅に終わりは見えそうなの?」
遠まわしにいい人出来たのかしらと聞くと
「1年後まで国内旅行の予定が組まれているさ・・・」
とちょっぴり切ない表情で答えた彼だった。