「あなたはフランス語がわからないだろうから、この地図で勉強してね」と言われた。
彼女と私との出会いは、5年ほど前だろうか。インターナショナルな友だちを作りたいという趣旨のパーティーが都内で行われ、お互いそのときに参加してメールアドレスの交換。それからたまに会うようになった。
フランス人の彼女は日本語を勉強中ということで、片言の日本語と英語で私に話しかけてきた。
最初、他のフランス人に英語で話しかけたら、全然返事をしてもらえなかったとうことを体験し「フランス人は英語が嫌いという噂は本当かも」と思ってしまった私。
しかし彼女は「それは人それぞれ。私はフランス語でも英語でも日本語でも、なんでもいいの」という。
確かに細かいことにこだわるより、いろんな人とコミュニケーション取ったほうがいいだろう。
「ねーねー、地図のプレゼントなんて今まであった?」フランス人の彼女は目をキラキラさせながら私を見ている。
「うーん。初めてかな。2年前に夫から地球儀をもらったけれど、あれは地図と違うしね」
「多分英語か日本語で書いてある地球儀じゃない。
フランス語の地図なら、日本ではあまり売っていないかもしれないって思ってね。
前にフランスへ帰ったときに買ってきたんだ」
わざわざ自国に戻ったとき、私へのプレゼントとして地図を購入した彼女。
フランス語を少しずつ勉強しようと思わせた出来事だった。