兄のここ数年使っていないスキー板を発見した。
数年前にスキーがやりたいという兄に、
伯父が教えてくれるということで、新品のスキー板を購入したのだ。
しかし兄はそのスキー板をたった1シーズンしか使わなくて、
そのまま物置に収納していたらしい。
「このスキー板、どうするの?
またスキーやるならそのままにしておくけど」
と兄に確認。
兄は
「うーん。もうスキーしないなぁ。伯父さんもいないし」
とのこと。
ここ数年、粗大ゴミはお金を支払い引き取ってもらうシステムだから、
早速粗大ゴミの申し込みをすることにした。
兄のスキー板には、私と兄の間にちょっぴり思い出がある。
というのも、私たちが住む街に以前大雪が積もったときのこと。
たまたま両親がその日は外出していたので、
私たちは「うちの庭でスキーしよう」と盛り上がった。
そこで兄は自分のスキー板とストック、スキー靴を引っ張り出して
「よし、俺とおまえで交代でやろうな」
と提案した。
決して広くない庭、おまけに坂もほとんどないところで、
私たちはすでに成人していたにも関わらず夢中でスキーを楽しんだ。
たまたま使い捨てカメラを持っていた私が、
そのスキーしている様子を数枚カメラに収めていた写真も
手元にある。そこには笑顔の兄。
いつもとは違う庭の顔があった。
あれから何年たったのだろうか。
もう私たちはスキーをしようとは言い出さないようになってしまった。
そもそも今年は東京に雪が積もっていない冬なのだ。